記録 2016.07.26.むしむし。

*今日は早く寝るぞ。
むし暑いなあ。すっかり身体が参ってしまっているみたいで、
以前ほどではないにしても、胸のあたりに熱がこもる感じと、口の中が気持ち悪い感じと。
超しんどい。
「何か強烈なもの」で散らしてはならぬ、感じる、感じる・・・

帰って来て、電気もつけずに布団にもぐりこむ・・・ほどではなくて、
座ってしまうとなかなか立ち上がれないながらも
なんとか、お風呂に入って洗濯はして新聞は読める。
「ちょっと記録」も出来る。
そこまで出来るのに何が不満なんだよ、と書きながら思う(-    -)
掃除機かけたり、シーツを替えたり、アイロンかけたりはムリ。
本当に仕事しながら家庭をもってるだとか、子育てしてる人ってすげぇなあ・・・
同じ人間なのか(-    -)と思う。尊敬。

◆今さらだけれど早川徳次さん(シャープ創業者)。
大正12年9月1日午前11時58分、近代国家となって以来、経験したことのない強烈な地震が首都圏を襲った。
お昼時だったため、そこここで火災が発生し、その熱風が渦をまいて強烈な上昇気流となった。
徳次の家のある本所のあたりは蒸し焼き状態となり、家も工場も一度に失った。
そして彼の家族である。火が出た際に子供たちをかばったため、妻・文子は全身に大火傷を負っていた。
炎と熱風に追われるようにして油堀(深川にある十五間川の通称)の中へと避難し、流されないよう堀の中の杭にすがりついた。
6歳になる克己をおぶって9歳の煕治をかかえているのはつらい。
だが、いくら待っても火の勢いは収まらない。
意識が朦朧(もうろう)としてきた。
ふと背中が軽くなったと思ったら、背中の克己が流されていった。
慌ててつかまえようと手を伸ばした途端、こんどは煕治が流されていった。
もう錯乱状態である。その後、どこをどうさまよったのか、
避難所となっていた岩崎別邸で徳次と再会した時には、息も絶え絶えになっていた。
「すみません、子供たちを……」
そう苦しそうに言うと、あとはただ泣くばかり。
そして彼女も、この2か月後に子供たちの後を追ってあの世へと旅立つのである。
(略)
妻と子供、家と工場、すべてを一瞬で失っただけではない。
そこにさらに追い打ちをかけるように、大阪の日本文具製造という会社(中山太陽堂の子会社)が借金を返すよう迫ってきた。
財産を失った徳次に返す当てはない。やむなく会社を解散し、シャープペンシルの特許を無償提供し、製造機械をその会社に売却することにした。
その点、彼は実に潔かった。借りた金は何としても返す。それは商売の基本である。
今の自己破産や会社更生法などは、更生しやすいものの、商売に甘えが出てしまうのは間違いないだろう。
特許は入手したものの、日本文具製造に技術はない。
そこで震災の年の12月、徳次は新天地の大阪へと旅立ち、彼らの技術指導を始めることとなった。
そして技術指導にめどが立った後の事業再開の根拠地として、大阪府東成郡田辺町大字猿山25番地(現在の大阪市阿倍野区西田辺)の235坪の土地を10年契約で借りた。
現在、シャープ本社がある場所である。
工費はざっと2,500円。完成した8月末日、日本文具製造を辞して再起の旗を揚げた。
このとき徳次30歳。
新しい工場に「早川金属工業研究所」という看板を掲げたのは、震災からちょうど一年後の大正13年9月1日のことであった。
彼はあえてこの日を再出発の日に選んだのだ。
人生最大の逆境にも耐え、彼は再び立ち上がろうとしていた。もしここで心折れていたとしたら、現在のシャープはない。
給料を出せるかどうか分からない状態にもかかわらず、徳次を慕って多くの従業員がついて来た。
晩年、彼は揮毫を頼まれた時、“何糞(なにくそ)”と書くことがあって人を驚かせたという。
負けじ魂がふつふつと湧き上がっていた。

◆『安岡正篤 一日一言』の10月15日から:
「人間は何にしびれるかだ。何にしびれるかによって、その人は決まる。中江藤樹は『論語』と王陽明にしびれていた。人間は本物にしびれなければならない」

◆新聞のコラムから。
革命家イチロー 世界一の自己管理 「故障はしている。でも出ている」
選手に求められる最重要の資質として、メジャーからマイナーまで、米球界の指導者が一様に口にするのは「consistency」(一貫性、安定性)だ。
長丁場のシーズンでは一時的に活躍しても、すぐ故障する選手は信頼できないということになる。健康を保ち、安定した成績を残すこと。これを、とんでもないレベルでこなしてきたのがイチローだ。
その自己管理は他のトップ選手の関心を呼び、3000安打のアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)がウオーミングアップの仕方を尋ねたこともあったという。
「身長180センチで体重80キロくらい。その選手があそこまでいくとは思わない。何かがあるに違いない。それは何なのか、というのはみんな興味のあるところ」と、イチローの日本時代の同僚で、メジャーでも活躍した田口壮・現オリックス2軍監督は語る。
通算安打数“世界一”の人の世界一の自己管理。トップ選手も教えを請うわけだ。
メジャー3000安打まであと6に迫ったイチローも不死身ではない。2002年4月、フェンスに激突してひざに4針縫う裂傷を負った。09年、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)後、心労のゆえか、胃の潰瘍で初の故障者リスト入りした。しかし、02年も1試合休んだだけで、翌々日にはもう代打で出場している。
「故障はしている。でも出ている」と話したことがあった。プレーには常に危険が伴う。大事なのは故障を予防する準備、リスクを抑える技術と一瞬の判断、プレーへの影響を最小限に抑えるケアだ。
故障を故障とみせないことのすごさを、過酷なシーズンをともにする選手仲間は知り「真のプロ」をみてとっている。

◆玉利伸吾氏。日曜日の新聞から。
EU、色あせる統合の理想 英離脱で強まる現実主義】
理想だけでは危うい。現実優先では流される。なんとも兼ね合いが難しい。英国が欧州連合(EU)離脱を決めたことによる動揺は、ひとまず落ち着いたが、国際関係に深刻な地殻変動が起きている。理想主義の衰退である。国境をなくし共栄をめざす統合構想に影が差し始めた。立て直しを急がないと、遠心力ばかりが強くなる。
ほぼ半世紀前、英国はあせっていた。戦後復興が進む中、欧州大陸ではフランス主導の経済共同体による自由貿易市場が拡大していた。参加の利点は大きかったが、大陸と一線を画す姿勢を取り続けていた。やがて、米国の台頭、英連邦諸国の独立、英経済の衰退などで、背に腹は代えられなくなった。
迷った末に1963年、欧州経済共同体(EEC)への加盟を要請するが、冷たく断られた。67年にもEUの前身、欧州共同体(EC)に加盟を申請し、失敗する。いずれも英国嫌いのドゴール仏大統領が拒否したためだった。
フランスの強硬姿勢に加えて、英国の国内事情や米国など大国の思惑も複雑に絡んでいた。EC加盟がようやく実現するのは、ドゴール辞任後の73年。英国にとっては、経済的利益を重視する現実主義による選択だった。
当時と方向は逆だが、今回も現実重視である。東欧などからの移民急増への不安やEUが政策を決めることへの不満を背景に、国民投票では離脱の利益が大きいとの判断が多数を占めたようだ。
EUも域内の経済を統合して単一市場を作り、利益を分け合う実利的な側面が強い。だが、その根幹には理想主義がある。戦争を繰り返さないために国境をなくし、平和共存をめざしてきた。
「欧州は一つ」との理想をかかげることで、利害が対立していた国や諸国連合をも吸収して拡大を続けてきた。東西冷戦終結後、2004年には、中東欧諸国10カ国が集団加盟した。その後、加盟国は28カ国に増え、欧州の平和維持に貢献してきた。
12年にはノーベル平和賞を受けている。「EUは前身の時代も含め、60年以上にわたって欧州における平和と和解、民主主義と人権の向上に貢献してきた」と評価されたからだ。
EUが初めて直面した離脱の動きは、理想主義を衰退させかねない。現実が理想を弱め、忘れさせてしまう。英国の首相に就任したテリーザ・メイ氏は、就任前に「最善の条件をめざして交渉する」と語り、自国の利益を優先する立場を鮮明にしている。
EU側は「いいとこ取りはさせない」と強い姿勢を示しているものの、英離脱で各国の反EU勢力が勢いづく可能性もある。自国第一の現実主義が広がれば、国家を超えた利益のために共同体を作るという理想は色あせてくる。求心力が弱まれば、解体に向かう恐れさえ出てくる。
戦前の国際連盟の失敗は、理想が現実に破れた例だ。第1次世界大戦後、永続的な世界平和のための国際平和機関を作ろうというウィルソン米大統領の提案で、1920年に設立された。軍事力も連盟が管理することで、大国による力の政治が後退し、平和を維持できると期待された。
だが、実態は理想とはほど遠かった。提案した米国が参加せず、英国、フランス、イタリアなどの主要国が自国の国益を優先した結果、理想は骨抜きとなった。ドイツの再軍備を防げず、第2次大戦の歯止めとはならなかった。
当時、連盟を厳しく批判したのが英国の政治学者、E・H・カーだった。外交官経験なども生かした著書「危機の二十年」(原彬久訳)で、ウィルソンをユートピア的政治家に位置づけた。連盟は理想主義が支配的だったことによって国際政治に危機を招き、とてつもない混乱を引き起こしたと指摘している。
国際秩序を保つためには、健全な政治思考が重要だとも説いている。それは、「ユートピアとリアリティがともに存するところにのみその姿を現わす」という。
理想が行動を促す。だが、現実の裏付けのない理想は夢にすぎない。結局、バランスが大事ということだろう。一方に偏ると、国家間の緊張が高まり、争いが増える。
EUは理想を掲げた超国家組織である。理想が衰えれば国を結びつける力も鈍る。英離脱後に、経済や安全保障の問題にどう取り組むか。何のために共同体を組織しているのか。改めて、国際社会に向け明確に示す必要がある。EU首脳がまず取り組むべき仕事であり、とりわけ、盟主ドイツの責任は重い。