記録 2016.07.08.Try the limit.

*それにしても、本当に酷い話。
***なんて、「劇中」に登場しちゃいけなかったんじゃないかな。
本当にそう思う。
長い長い時間の後。
それこそ仏説に出て来る「芥子劫」「盤石劫」と言うような時間が経ち、
地球の属した太陽系も寿命を終え、
***の旅した星、世界も何百何千を数えた頃、
どんな「会話」が聴こえるだろうか。

「自分に、注目してくれたら、
 自分に、この世界の最高の『物』をなんでも集めて奉げてくれたら
 自分を、新時代の救世主として崇めて呉れたら」
「助けてやる。って言ってんだろ。
なぜ誰も我が声を聴かぬ!滅ぼすぞ。
 『不幸』にしてやるぞ」
もう黙れよ。

そうではなく。
人、どころか 動植物、天地、星、星団、「自分の創ったもの」すべての声を聴き
すべてのものが「うん」と言う、
言える「選択」をするべく、本当に表には出ず、一言も発せず、導き、
何よりすべてのものが「平和裏に落ち着けますよう」という静かな願いを持つ者。
この何千年の間に現れたどの高徳の人よりも。
こんな凶暴な幼児のような暴君ではなく。
願いが、許しが、「誰」よりも高尚で、しかも誰にも「理解」出来るように「説得」出来、
(ものすごくいろんなことへの興味、関心があって、
 人、他から学ぶ、人の話、意見、考え、知識を傾聴する姿勢があって、
 そのうえで、「この場合、こう変わっていくだろう」という先見性、
 「こうあるべき」という意思が誰より強く、それを各方面に説得できる人徳、弁舌を備え
 仏陀の「広長の舌相」どころではないでしょうね)
トップダウンではなく、「感謝」と「納得」と「希望」を引き出せるもの。
不安と恐怖で「自らだけの思い通り」に「支配」するのではなく
「それでも」思い通りにならないものは恫喝・破壊・淘汰するのではなく
希望を見せてくれるもの。
この、現在は、あらゆる出来事は、「みんな」で造って来たもの。
であるように
未来は、「みんな」で造るもの。
そういう者が、今の民主主義・資本主義世界では、リーダーに、選ばれないのだ。と言うが?

****って言っても、今のところ、全くの一個人の評価、超限定的なコミュニティ内の指標でしかないからな。
「自分が」高ければいいってもんでもないよな。
周囲との、もっと大きな眼で見れば世界とのバランスに関わることだしね。
高くしてもらえれば喜び、
落とされれば落ちこみ、
必死で***の機嫌をとって「上げてもら」えたら一応ハッピー
どろんこゲームの参加者・・・ね。
主催者は、参加者たちが、右往左往する様子が楽しいってだけみたいよ?
そんなことが「楽しい」なんてなんてゲッスい趣味?!
なんて茶番なんだ。
しかもそれ、一般社会じゃまったく通用しない「指標」ですから。
**以前でも*はキープしてて*以下になることはなかった
って聴いてから更に「憧れ」られなくなったしな。
人間としての、魂としての、能力、魅力、人徳、とはまったく関係のない数字だ。と思わされた。
ほぼ宗教だ。
信者は全面的に受け入れられない自分を責め、
内輪でだけの「評価」に一喜一憂、そのために日々努力して、
人力、金、物を奉げ続け、
「何かをした気になれる」。
何だっていいんじゃないですか?
たまたま、SだとかK,s,M,T,...ではなかったっていうだけ。

ボロはちょいちょい出すが、それを一時的にごまかす言動には長けているかな、とは思う。
「どんな仕事だって大変なんだけどね」
「魂に、名前はありません」
(only my point of view)
「もうちょっと勉強しろよ」とはいろんな点で、呆れるほど思ったけど。
何年か前、「英語の勉強を始めました」で、「おっ」と思った。
いっぱい海外へも行ってるんだしね、って。
数か月後には「先生」のせい?みたいなこと言って「やめました」って公言してて萎えたし。
私にこう思われるくらいじゃ、もっとまともな職の、一般的に「識者」という人たちにはどんな感想を持たれるのかと思うと恐ろしくてたまらないし。
いやいや、相手にもされないんじゃないか?って予感が的中しそうなのが何より恐ろしい。
これが私よりもはるかに若い、大学生くらいだったらまだ「許せた」かもしれないんだけど。
ちょっと、考えてみたらしいこと、ちょっと、誰かから聴いたらしいことを「どやっ」と語りはじめるのも、
あーすごいすごい(ちょっと違うと思うけど)(またいい加減な知識でモノ言ってるなあ)(指摘してもいいけど、面倒くさいからな)」ってあしらいながら、
愛らしいくらいに思えたんだろうけど・・・・
とても「紹介」なんて出来ませんよっと。紹介できる人ってどう紹介してるんだろう。
この人に「相談」したら、人回り・金回り・モノ回りがよくなって病気が治って適職に就け、「幸せ」になれました。さああなたも「幸せ」になりましょう!ってなことを言って「おススメ」するの?
どんくらい「心の中に」不安や不満をためこんでて、迷い、疲れ、どうにもならなくなっていたら飛びつけるんだろう。ぞっとする。

救世主でもなんでもないでしょう。
寧ろこれから滅ぼされる人間にとっては猛獣、怪獣でしょう。
なのに、未だに吠える。
「さあ人間どもよ 俺に気づけ、拝め、縋れ、奉げろ、崇めろ」
「そうしたら人間が滅ばずに生き延びる道を教えてやる」
「それが、『調和』された世界。『救われた』者たちはみんな、感謝し歓喜し、見物人であった(地球人から見て)宇宙人たちは驚嘆し賞賛する」
華々しい「デビュー」を飾るつもりが、一回戦敗退でしたっていう。
こんな種族すら「思い通りに出来なかった」・・・
しょうがないですね?目の前に居る、自分の造りし一個の人形の思考感情すら読めず、別経路で「入手」して激怒、復讐なんて、ただの人間でも恥ずかしいこと。
自分が悪いんじゃない。この種族が「救いようもないほど」愚昧だっただけだ。
蜘蛛の糸を垂らしてやっていたのに、気づかずに、自ら放棄したんだ!
そうして、次の世界、末代まで語られていくのですね、この星の今後数十年のことが。
この種族の哀れな末路のことが。
「お前らもそうなりたくなければ○○しろよ」
今度は何て言って支配します?
自分の居心地の「良い世界」に改造していきます?
それが行き詰まれば、星ごと滅ぼし、「次」へ。「調和」を求め。
そんな「調和」なんてあり得るでしょうか?
「自分達だけが守られ利されるよう」従うだけの者達しか生き残れない。その者らさえも、逆らえば報復・破壊。
恨まれ、畏れられ、限りない恐怖と猜疑と悲しみと慟哭の満ちた、「終わりなき旅」の最初の最初。
そんな999、永遠の、ただ一人死ねない、終われない存在なんて、どれだけそれ自体呪われてる?

相変わらず自分の気に入らぬもの、現象、人間を口汚く罵倒し、同意を求め、同意してくれる人間だけしか見えず、食べることくらいしか楽しみのなさそうな暮らし。
この4つの偉大な活動、人間には、とてもなしえない偉業が、未完で放棄されたのなら、もう、生活を支えてもらう必要もありませんね?
いつ、この星を去られますか?
創造主、至高の神の気に入らぬ行い・選択ばかりの未開種族の支配の続く、自分を支配者として崇めて呉れない、自分を「正当に」評価できない、薄汚れた星の表面など、一掃して早くもっと調和した世界へ発たれたいでしょう?
「おいしいものは食べたいので○○人は保護します」
・・・

怖いもの。自分の耳には痛いこと。責任を取ること。
義務などないかもしれませんが自分の吐いた言葉にはそれなりに責任があるでしょう。
一切の責任を負わず、「理解できない人間が未熟なのだ」と丸投げして「美味しいところ」だけ持っていけるのがヒーローでしょうか?
まさに口だけ番長、あまりにも、「モデルになった」物語のヒーローたちにだって失礼ではないですか。
最初から政治家になれるなんて思ったこともないですから。
なってくださいなんて言う人もないだろうと思ってきましたから。
政治家は、自分の吐いた言葉に責任を持つ、持たされる。
日々のんびり、好き勝手に自由になんてしてられませんよ。
でもだから周りを動かし、リスクを負っただけ「ヒーロー」の資質を持つ。
責任を鋭く追及して来る人、視線から逃れられない。
そういう人たちへはどんな対応を?紛糾したりしません?
相手の納得のいく「論理的な回答」が出来ますか?
と問うたことも。
相手が「退いた」というのは必ずしも「論破」ではないでしょうが、
何でも自分の都合よくしか解釈したくない人の中だけでは「勝利」かもしれませんね。

****も****も、みんな、居なくなっちゃった・・・星で。
本当は、皆、護ろうとしてくれていたんじゃないかな。
本当は、「抵抗」をして、「報復」として**られたのではないのかな。と時々思う。
強大な力に、抗いきれなかったんじゃないか。
「聞こえます?」
天に地に。そっと問う。
残っていませんか、この種族を護るもの。
いいえ、「神」の怒りに触れたもの、もう、「誰」が護りたくとも、力は及ばない。
そういう「もの」が降り立ってしまった星だということだ。
そして、これは、終わりの始まり。
「悲しい」を背負うこと。
不安と恐怖を引き受けること。
造られたものとして、恥ずかしくないよう、最後の最後まで全うするということ。
そんなに悪くはない筈だよ。
終わりがあるから。前を向いて、大切に、美しく、思うように望むように信ずるように。
「みんな」は、その点で、「孤独」ではない筈なのだから。

◆FT, Martin Wolf さん。
ユーロ導入前の1996年10月、筆者はこう主張した。「英国は欧州通貨同盟への加入・非加入の選択を迫られている。それはやがてEU(欧州連合)の中か外にいるかの選択になる」
この考えから、英国は参加を検討すべきだと結論付けた。間もなく考えを変え、英国はユーロ圏内では繁栄できないと主張した。その後の出来事はこの判断を裏付け、筆者の懸念が正しかったことも証明された。
英国は長らく、欧州から半ば離れており、今では完全な分離に向かう途上にある。目前に迫った離婚は英国に、とてつもなく大きな課題を突きつける。だが、EUにも課題をもたらす。
我々が今置かれた状況に至ったのは一連のアクシデントの結果だ。特に大きかったのがキャメロン首相の驚くべき無能さだ。離脱に投票した人の2%が残留に入れていたら、残留派が勝っていた。
もしキャメロン氏が前回の総選挙に勝たなければ国民投票はなかった。こんな話はいくらでも続けられる。EUに対する信頼の欠如から悲しい結果は常にあり得た。
英離脱は2つの次元でEUへの脅威となる。第1に、英国は隣人にして市場、金融センター、安全保障上のパートナーだ。英国は腹立たしい存在だろうが、相互に満足のいく関係を築くことがEUの利益になる。
第2に、英離脱は前例となる。最初にEUから離脱する国は必然的に後に続くことを望む国の手本となり、離脱に反対する国への警鐘となる。
EUの支配層が大衆迎合主義者の魅力を減らしたいと考えるのは理解できる。だが、それをなし遂げる最善の方法は人々に安全と繁栄を与えることだ。英国で多くの人が離脱を望んだ理由の一つは、EUはこれらの約束を果たしていないと見たからだ。
最近の失敗の最たる例はユーロ圏内にある。これは英国とは全く関係がない。ユーロは繁栄の時期を切り開くどころか、長期にわたる停滞と生活水準の大幅な乖離(かいり)をもたらしたというのが悲しい真実だ。
悲惨な結果は偶然ではない。これらは危機を主に財政の危機と見なした誤診の産物であり、長期借り入れの実質金利がマイナスであるときでさえ蒙昧(もうまい)主義的に財政刺激策に反対したことによる産物だ。
ドイツはユーロから多くの成果を得た。同国の主要なパートナーはそうではなかった。この乖離は大きな脅威となる。これを終わらせるための効果的計画は存在しない。
ユーロ圏を繁栄させることは、絶対に欠かせない。英離脱は迷惑な問題だ。何より優先すべきは、広く共有される経済成長に向けた実際的な計画だ。

In October 1996, as the launch of the euro came closer, I argued that: “The choice looming for the UK is between being inside the European Monetary Union and being outside … It will become a choice between having a voice within the governing arrangements of Europe and not having one. In time, it will be between being inside the EU and being outside it.” I concluded, for this reason, that the UK should consider joining. Shortly thereafter I changed my mind, arguing that the UK could not thrive inside it. Subsequent events have confirmed this judgment. But my earlier concern has also been vindicated.
The UK has long been semidetached and is now well on its way to becoming fully detached.
The pending divorce (http://www.ft.com/eureferendum) poses a huge challenge for the UK. But it also brings challenges for the EU. To thrive, perhaps even to survive, it must change. The UK’s departure is a threat but also perhaps an opportunity.
This is not to argue that divorce was predestined. Ending up where we are now was the result of a series of accidents including, not least, the amazing incompetence of David Cameron, the outgoing prime minister. If just 2 per cent of those who voted Leave had voted Remain, the latter would have won. If Mr Cameron had not won the last general election, the referendum would not have happened. If David Miliband had been leader of the opposition Labour party, Mr Cameron would probably not have won the election. One could go on. Nevertheless, the UK’s disenchantment with the EU project and lack of beliefin its existential purpose always made this sad outcome possible.
Brexit might still not happen. The referendum is, after all, purely advisory. It does not bind parliament and, what is more, parliament cannot bind its successors. Furthermore, the referendum result merely specified that the UK should leave the EU. It did not indicate what Leave meant. As choices become clearer to the public, the latter might be subject to a severe fit of buyers’ remorse. Another referendum is not inconceivable but it is very unlikely. The political costs of ignoring, or seeking to overturn, the result exceed those of acceptance. Even if that did not have to be so, all the candidates to replace Mr Cameron believe it. The UK is leaving. That has to be the assumption of its EU partners, particularly if free movement of people remains an inviolable principle. So how should the rest of the bloc respond?
The UK’s almost certain departure is a threat to the EU on two dimensions.
First, the UK is a neighbour, a market, a financial centre, a security partner and a link to the wider world. It is in the EU’s interest to achieve a mutually satisfactory relationship, however infuriating the UK must be. This argues for the pragmatic position taken by Alain Juppé, frontrunner in the race for the French centreright presidential nomination. He even suggests that restrictions on free movement of people should be negotiable. If so, that would surely have obviated Brexit.
Second, Brexit is a precedent. The first country to leave the EU is, inevitably, an example to those that wish to follow suit and a warning to those who oppose it
It is natural for the latter to seek to undermine the appeal of the former by punishing the UK. I sympathise. The question they must ask themselves, however, is whether the best way to preserve the EU is to make it a prison, rather than a desirable place of refuge. This is not to argue for indulgence. But it is to argue against vindictiveness.
Yes, it is understandable that the EU establishment wishes to reduce the appeal of populists. But the best way to do so must be to give Europeans the security and prosperity they seek. One of the reasons so many in the UK wanted to leave is that the EU is no longer seen to deliver on these promises. That has not just been a difficulty in the UK. It is a difficulty throughout the bloc.
Thus the core challenge for the EU is to make it work — and be seen to work — for the benefit of the great majority of its citizens. As Donald Tusk, president of the European Council, argues: “The spectre of a breakup is haunting Europe and a vision of a federation doesn’t seem to me to be the best answer to it.” This is sensible. The failure of the EU lies not in its political structures but in its policies. It must secure legitimacy via practical achievements rather than further erosion of national autonomy.
The paramount example of recent failure lies inside the eurozone. That has nothing to do with the UK. The sad truth is that, far from launching a period of prosperity, the euro has delivered a lengthy period of stagnation and massive divergences in living standards. Between the first quarters of 2008 and 2016, aggregate eurozone real gross domestic product rose by a mere 0.5 per cent, while real aggregate demand fell by 2.4 per cent. This is grim enough. Even worse, between 2007 and 2016, real GDP per head is forecast to rise 11 per cent in Germany, stagnate in France and fall by 8 per cent and 11 per cent in Spain and Italy respectively.
These dire outcomes are no accident. They are the product of a misdiagnosis of the crisis as mainly fiscal, of asymmetrical macroeconomic adjustment, and of obscurantist opposition to fiscal stimulus, even at a time of negative real interest rates on longterm borrowing.
Germany has done well out of the euro. Its principal partners have not. This divergence poses a big threat. No effective plan exists to end it. (See charts.)
The EU is unlikely to gain the legitimacy that comes from democratic accountability it is too big and diverse for that. The best route to legitimacy consists, instead, of managing the practical challenges it confronts. Dealing with migration is an extremely important and difficult practical challenge. But making the eurozone prosperous is indispensable. Brexit is a nuisance. The priority is a practical plan for widely shared economic growth.

◆新聞のコラムから。(Exact date unknown maybe end of June)
英国の欧州連合(EU)離脱騒ぎは世界の金融市場に衝撃を与えた。為替・株式市場が乱高下したが、主要7カ国(G7)の政府が市場安定に向けた断固たる姿勢をすぐに示し、離脱決定直後にみられた大きな混乱はいったんは収まった。
国内では、円高進行と株価下落を受けて、今回とリーマン・ショックの類似性を指摘し、予定されている経済対策の大幅な上積みを求める声が出ている。
確かに金融市場は動揺している。だがリーマン・ショックが金融システムに内在する連鎖的な危機だったのに対し、今回は政治システムショックともいうべき外部からの衝撃である。リーマン級といっても、当面の金融危機は回避できる。問題は、他のEU加盟国や世界経済に与える影響がじわじわと長期的に表れるとみられている点にある。
日本も円相場や株式市場が当面のショックを吸収できれば、うろたえる必要はない。企業の高い収益水準を反映した設備投資、人手不足による賃金上昇が見込まれ、日本経済の腰折れは考えにくい。
経済対策として必要なのは、一時的な需要追加策ではなく、世界経済を取り巻く環境が不透明さを増すなかでデフレを脱却し、内需の持続的拡大を確実にする施策である。例えば子育て層への支援をもっと強化することなどが消費活性化の近道である。
そして英国の国民投票から日本は何を学ぶべきだろうか。投票行動で明らかになったのは、都市(ロンドン)と地方の格差、シニアと若者の断絶だ。移民や雇用・所得格差の問題を通じてそうした断層が表面化したとみられる。英国に限らず、西欧の多くの国で既存の政治勢力がこうした社会問題の解決に有効な施策を打ち出せず、手をこまぬいてきたことが断層を拡大させた背景ではないか。
日本も他人事ではない。高齢化が進むもとで社会保障の給付と負担の不公平を放置すれば、世代間の断絶が深まり、若者はますます子供をつくらなくなる。地方経済がグローバル化の波についていけなければ、縮小均衡に歯止めがかからない。社会保障改革と地方活性化に向けた政治の本気度が問われている。もとよりカネはない。痛みを分かち合い、自助努力を促す改革を打ち出す覚悟はあるか。

◆新聞のコラムから。2016.07.06.
ちょうど30年前、1986年7月6日は衆参同日選挙だった。中曽根康弘首相は、ダブル選挙の意図をひた隠しにし、衆院解散をあきらめたと思わせておいて不意打ちした。「死んだふり解散」と呼ばれた。
「死んだふり改憲」もあるかもしれない。参院選改憲勢力が3分の2を超すと、衆院ともども憲法改正を発議できる。安倍晋三首相は、改憲の争点化を避けているが、選挙の結果次第で走り出すかもしれない。
憲法論争が、足りない。「9条」に限らない。参院選自体が、重大な憲法問題を抱えているというのに。
最高裁は、前回、前々回の参院の選挙区選挙を「違憲状態」とし、都道府県単位の選挙区の「仕組み自体の見直し」を求めていた。
国会の対応は、全国を9ブロックの比例代表制に統一する案や、10以上の合区案などが浮かんでは消え、結局、鳥取と島根、徳島と高知の2つの合区でお茶を濁した。選挙区間の1票の最大格差も3倍を超える状況で選挙を迎えた。
今回も、違憲の疑いが濃い。他方、合区によって、選挙区=都道府県代表と言えなくなった。「参院は何を代表している院か」が問われて久しいが、ますます、わからなくなった。
「再考の府」や「良識の府」があてはまったのは無所属議員で結成した院内会派緑風会」が多数派だった、戦後も初期のころだ。政党化が進んで、多数派が衆院と同じだと、衆院の「カーボンコピー」、多数派が異なる“ねじれ”だと、政権を揺すぶる「政局の府」となってきた。
第二院の参院衆院とほぼ同等の権能を持つことが問題の根源で、「同じものが2つ」を突き詰めると、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」という憲法43条の適否にも行き着く。
主要先進国では、イタリアも両院の権限が対等で、日伊両国は、首相がひんぱんに替わることで知られている。そのイタリアは、上院の権限、議員数を大幅に削る憲法改正案を、10月に国民投票にかけるという。
望ましい二院制、とりわけ参院のあり方を論じるのに参院選は得難い機会なのに、与野党とも語らない。
70年前に公布された憲法を後生大事にする護憲派には共感しかねるが、十分な議論もしないで憲法を変えるのは反対だ。

LIXILグループ相談役 藤森義明さん。
自動車や医療機器などあらゆる業界で世界規模の再編が進んでいる。日本企業はM&A(合併・買収)をする気持ちと能力を持っていないと、勝負に乗り遅れてしまう。
社長を務めたLIXILグループではドイツの水栓金具大手グローエを買収した。これを機にスイスの衛生機器大手がフィンランドの同業買収に動くなど、日本から世界の住宅設備業界の再編を仕掛けられることも示せた。
だが、時間を買うM&Aにはリスクがつきまとう。グローエ傘下の中国企業では不正会計が見つかった。不正に限らず、技術や人材が融和しないなど様々な失敗が起こりうる。中国企業の問題では先進国と同じルールがない新興市場の危うさが顕著に現れた。
デューデリジェンス(資産査定)をし、一定のリスクも計算していたが、中国を十分に知らなかった。感覚で危険を察知できるような精通した人材、商社のように数十年にわたって蓄積された情報網が欠けていたと感じている。
そのうえでM&Aのリソースの配分をどうするかが重要な選択になる。15〜20%は新興市場にしないと将来の成長はないと考えている。一方、その範囲に抑えないと、リスクが現実になった時に企業の基盤を揺るがしかねない。
M&Aの手法は資金が豊富なバブル期のランダム買いから、選択と集中の戦略的買収へと変化してきた。情報量が増え、見えない情報をとって管理する力がものをいう。各市場で地域に密着した情報網をつくる努力が求められる。オープンイノベーションの形で情報やノウハウを共有することも役立つのではないか。
買収は一瞬で終わるが、その後の融合作業は5年、10年と続く。資金だけでなく、組織や企業文化を変えてグローバルな人材をまとめる力が必要だ。長く難しい作業をやり遂げるかといった面からも、世界再編をリードする企業の真価が問われるだろう。

◆「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(1) 素直な心を持つ 大事を成すための道
「成功するために知っておいてほしいこと」と「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」の2部から構成される本書は「素直な心になりましょう。素直な心はあなたを強く正しく聡明(そうめい)にします」という言葉で始まります。素直な心で客観的に世の中を捉え融通むげな人間になることが、知恵の源泉になると松下幸之助は説いています。
戦略・戦術などの方法論も大切ながら、まずは正しさを貫き、物事の本質を見ることで、大事を成すための道が見えてきます。逆に自分の主観をもって、自分に都合の良いようにものを見ることは、多くの場合判断を誤らせ、やがて失敗につながります。
誰の意見も素直に聞き、良いと感じたことは素直に取り入れていけば、皆がその人を応援したくなり、自然と知恵や仲間が集まってきます。どんなものにもこの世に存在する以上は良いところが必ずあるはずです。
例えそれが政治信条の異なる相手や競争相手の企業であったとしても、良いものは良いと認めて学ぶことが重要です。そのうえで「むこうさんの品物よろしおます。それもこの(自社製品の)中にちゃんと入ってます」とやれば、自然と商売もうまくいき、世の中が良くなります。それは企業経営にも政治の世界にも言えることです。
小さなことや知識、あるいは疑念にとらわれず、素直な心で大きく生きること、そしてそれを毎日心に念じ続けることが成功に至る生き方であり、決して恵まれた境遇に育ったとは言えない松下幸之助自身の成功にもつながったのだと、本書は指摘しています。

◆新聞のコラムから。7月?日。
実力者が失脚するパターンはいろいろある。シーザーや織田信長は側近に裏切られた。権力の乱用が人心の離反を招く例も多い。ちやほやされて自分は特別な存在だと思い込む。「おごれる人も久しからず」。政治学者出身でこうした法則に通じたはずの前都知事でも暴走したのだから、権力はよほどの蜜の味なのだろう。

(1)国際通貨へ野心に火
リーマン後に動いた中国 規制残り、前途は多難
1997年9月21日。日本や中国などアジアの10カ国は香港で蔵相代理会合を開いた。焦点はアジア通貨基金(AMF)の創設。日本が主導して設立を狙った国際金融機関だ。名前から類推できるように、国際通貨基金(IMF)のアジア版を、という構想だった。
背景には、通貨バーツの切り下げで表面化したタイの経済危機があった。危機は後に「アジア通貨危機」と呼ばれるようになる。
この日の議論は結局、まとまらなかった。米国の財務副長官としてオブザーバー参加したローレンス・サマーズが反対した。合意が成立すればアジアの10カ国は翌日に蔵相会合を開くはずだったが、AMF構想ともども幻に終わった。
「中国の代表はずっと黙っていた。それが(実現しなかった)最大の原因だ」。大蔵省(現財務省)財務官として会合の議長をつとめた榊原英資は振り返る。
米国が反対した理由の一端は、サマーズの下にいたティモシー・ガイトナー回顧録に見える。「日本はアメリカが見せた弱みに付け入ろうとして、アジアでIMFに取って代わるアジア通貨基金の創設をほのめかした」(伏見威蕃訳)
一方、中国が賛成しなかった理由を当局者が明らかにしたことはない。ただ結果からみれば、アジア通貨危機への対応で「動かない」ことで中国は得をした。
AMFに賛成しないことで米国に恩を売り、日本の影響力の高まりを防いだこと。反対しないことでアジア諸国の恨みも避けた。人民元の切り下げ観測が強まるなか「切り下げない」ことで世界の評価も高めた。
アジア通貨危機を受けて国際金融の枠組みを変えようとした日本の試みは頓挫した。欧州統一通貨ユーロの発足で、日本で一時高まった「円経済圏」をつくろうという機運も景気低迷とともに下火になった。対照的に人民元は国際舞台で台頭する足がかりを得た。
そして2008年、リーマン・ショックが起きた。今度は中国が動く。
「特定の国の通貨を国際的な準備通貨として使う仕組みは(中略)現在の世界的な危機に見られるような弊害をもたらす」
09年3月23日、中国人民銀行のサイトは世界的な通貨システムの改革を訴える論文を掲載した。筆者は総裁の周小川。ほかならぬ中央銀行のトップが、ドルを基軸通貨とする体制にノーを突きつけてみせた。
並行して中国は、香港でのオフショア取引を認めるなど、人民元の国際化に向けた歩みを速めた。IMF世界銀行などでの発言権の拡大も求め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)など独自の国際金融機関づくりにも踏み出した。
AIIB参加を日米は見合わせた。AMF構想を巡る構図と比べると、日本と中国の立ち位置が入れ替わった印象だ。ただ、AMFが結局幻に終わったのに対し、AIIBはまがりなりにも実際に歩みを始めた。
アジア通貨危機で様子見だった中国が、リーマン・ショックの時に動いたのはなぜか。その頃から、中国は米国債の最大の保有国で、ドル資産の目減りに不満だったのは間違いない。
01年の世界貿易機関(WTO)加盟などを経て、世界的な貿易や金融のノウハウを吸収した結果でもある。名目GDPが09年に日本を抜くなど、経済力の高まりを受け、「責任ある大国」としての行動を示そうとした面が色濃い。
人民元は今秋、IMFのSDR(特別引き出し権)という特殊な国際通貨の構成通貨となる。構成比率はポンドや円を上回り、ドル、ユーロに次ぐ第3位。中国の名目GDP20年代に米国に迫るとみられ、人民元が国際的な存在感を高めるとみるのは自然だろう。
とはいえ前途は多難だ。当局が資本の流出入などを厳しく規制しており国際的な取引では使いにくい。人民銀はかつて22年ごろをめどにした人民元国際化の道筋を示したが、最近はむしろ後退を強いられている。景気の減速や過剰債務を背景に人民元の切り下げ圧力に直面し、資本流出規制を強めている。
英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたことで人民元に対する切り下げ圧力は一段と高まった。対照的に円は「最強の安全通貨」として買われ急騰した。ドルやユーロに翻弄される立場は同じでも、相場の方向感は正反対。円と人民元の関係はなお微妙だ。
中国の通貨・人民元が国際化に苦闘している。中国の経済力の高まりを背景に存在感は増したが、使い勝手はなお悪い。足元では投機的な資本流出のため安定の維持に追われている。基軸通貨ドルの牙城に迫れるのか。勃興の歩みをたどり、展望してみる。


*この国際金融のトリレンマに類似のものとして、「世界経済の政治的トリレンマ」という仮説が、ハーバード大学教授、ダニ・ロドリックによって2007年頃から提唱されている。
以下の3つは同時に達成することはできず、どれか2つをとれば、残りのどれかひとつが達成できない(犠牲になる、縮小する)とする考えである。
1.『グローバル化(国際経済統合)』
2.『国家主権(国家の自立)』
3.『民主主義(個人の自由)』
これらは「国際金融のトリレンマ」の、
1.『自由な資本移動』
2.『独立した金融政策』
3.『為替の安定(固定相場制)』
にそれぞれの順番で対応するものと考えられるとしている。
すなわち、
1.『グローバル化と国家主権をとれば民主主義が成立しない』
2.『グローバル化と民主主義をとれば国家主権が成立しない』
3.『国家主権と民主主義をとればグローバル化が成立しない』
となるとしている。
例として、1.の代表が共産中国であり、2.の代表がEU加盟各国であるとしている。


*Possibility of a dilemma
In the modern world, given the growth of trade in goods and services and the fast pace of financial innovation, it is possible that capital controls can often be evaded. In addition, capital controls introduce numerous distortions. Hence, there are few important countries with an effective system of capital controls, though by early 2010 there has been a movement among economists, policy makers and the International Monetary Fund back in favour of limited use. Lacking effective control on the free movement of capital, the Impossible Trinity asserts that a country has to choose between reducing currency volatility and running a stabilising monetary policy: it cannot do both. As stated by Paul Krugman in 1999:
***The point is that you can't have it all: A country must pick two out of three. It can fix its exchange rate without emasculating its central bank, but only by maintaining controls on capital flows (like China today); it can leave capital movement free but retain monetary autonomy, but only by letting the exchange rate fluctuate (like Britain - or Canada); or it can choose to leave capital free and stabilize the currency, but only by abandoning any ability to adjust interest rates to fight inflation or recession (like Argentina today, or for that matter most of Europe).***

*Impossible trinity and Historical events
The combination of the three policies, Fixed Exchange Rate and Free Capital Flow and Independent Monetary Policy, is known to cause financial crisis. The Mexican peso crisis (1994-95), the 1997 Asian financial crisis (1997-98), and the Argentinean financial collapse (2001-02) are often cited as examples.

*In particular, the East Asian crisis (1997-98) is widely known as a large-scale financial crisis caused by the combination of the three policies which violate the impossible trinity. The East Asian countries were taking a de facto dollar peg (fixed exchange rate),promoting the free movement of capital (free capital flow) and making independent monetary policy at the same time. First, because of the de facto dollar peg, foreign investors could invest in Asian countries without the risk of exchange rate fluctuation. Second, the free flow of capital kept foreign investment uninhibited. Third, the short-term interest rates of Asian countries were higher than the short-term interest rate of the United States from 1990-99. For these reasons, many foreign investors invested enormous amounts of money in Asian countries and reaped huge profits. While the Asian countries' trade balance was favorable, the investment was pro-cyclical for the countries. But when the Asian countries' trade balance shifted, investors quickly retrieved their money, triggering the Asian crisis. Eventually countries such as Thailand ran out of dollar reserves and were forced to let their currencies float and devalue. Since many short term debt obligations were denoted in US dollars, debts grew substantially and many businesses had to shut down and declare bankruptcy.

*In terms of the diagram above, the options are:
Option (a): A stable exchange rate and free capital flows (but not an independent monetary policy because setting a domestic interest rate that is different from the world interest rate would undermine a stable exchange rate due to appreciation or depreciation pressure on the domestic currency).
Option (b): An independent monetary policy and free capital flows (but not a stable exchange rate).
Option (c): A stable exchange rate and independent monetary policy (but no free capital flows, which would require the use of capital controls).
Currently, Eurozone members have chosen the first option (a) while most other countries have opted for the second one (b). By contrast, Harvard economist Dani Rodrik advocates the use of the third option (c) in his book The Globalization Paradox, emphasising that world GDP grew fastest during the Bretton Woods era when capital controls were accepted in mainstream economics. Rodrik also argues that the expansion of financial globalization and the free movement of capital flows are the reason why economic crises have become more frequent in both developing and advanced economies alike.

◆FINANCIAL TIMES 米国版編集長 ジリアン・テット女史。
【超低金利 英離脱で新次元に】
これはにわかには信じがたい動きだった。メットライフは英国で保険を売っているわけでもなければ、欧州に対する投融資残高が大きいわけでもない。今回の英国民投票の結果は、欧州の景気後退を招く、あるいは英国の金融街ティーが金融セクターの中でこれまでのような影響力を発揮できなくなる、またはシティーの大きな事業がなくなるといった影響を招く可能性があるとされている。その結果、英企業やユーロ圏の銀行、米ウォール街の巨大金融機関などが大きな打撃を被る可能性があるのに対し、メットライフはそうした影響は受けないだろうとみられていた。
【マイナス金利国債 世界で1200兆円規模】
だが、英国民投票によるEU離脱決定は、本来ならば直接影響を及ぼすとは思えないメットライフにまで大きな打撃を与えるかもしれないことを浮き彫りにした。市場参加者は英離脱決定が今後、広範囲にわたり金利見通しに影響を与え得ることに気付いた。何より注目されるのは、投資家がここ数日間で、英国のみならず西側諸国全域で今後のインフレ率と金利の予想を大幅に引き下げたことだ。
このことは、あらゆる種類の資産運用会社にとって厄介な事態を意味する。例えば、保険会社は保険加入者に支払いをするためには、それなりの収益を稼ぐ必要がある。銀行も低金利では収益力が落ち、苦しい状況に陥る。
将来の歴史家が、英国のEU離脱決定が世界に与えた衝撃について振り返ったとき、この金利見通しの変化を最も深刻な波及効果の一つだったと位置付けるかもしれない。英離脱派のリーダーだったジョンソン前ロンドン市長は6月30日、キャメロン英首相の後を継ぐ次期首相レースから突然、撤退を表明した。その豹変(ひょうへん)を巡るドラマほど劇的ではないにせよ、今後の金利の見通しが大きく変質したことは大きな意味を持つ。
いくつかの数字に目を向けると、どういう意味かよくわかる。2年ほど前、利回りがマイナスの債券(名目ベースで、満期時の償還額が当初投資家が払った金額より少ない債券)は珍しかった。しかし6月29日、英米格付け会社フィッチ・レーティングスは、世界市場には現在、名目金利がマイナスの国債が11兆7000億ドル(約1200兆円)分あると試算した。
【利回り求めれば別のリスク増大】
この数字は尋常ではない。しかも、このマイナス金利の債券の残高は過去1カ月間だけで1兆3000億ドルも拡大しており、2兆6000億ドルもの長期債(満期7年以上の債券)を含んでいる。その一方、投資家がこれまで正常だと考えていた利回り(2%を上回る水準)の債券の残高は、辛うじて2兆ドルに達する規模しかない。
このマイナス金利国債の大半は、日本とユーロ圏に存在している。だが、英米金利上昇期待はほぼ後退している。例えば、米国債市場は現在、今後10年間でわずか1.25%の利上げしか見込んでおらず、今後2年間はほとんど利上げがないと見ている。実際、米国最大級の規模を誇るヘッジファンドは今、顧客に「市場全体が、先進国全域で10年間にわたり金融引き締めが事実上ないことを織り込みつつある」と注意を喚起している。
この悲観的な予測は果たして当たるだろうか。当たらないかもしれない。何しろ世界経済はまだ全体として成長しており、米国も精彩を欠くとはいえ景気拡大を続けている。安全な避難先への殺到も、最近の債券価格の変動にいくらか影響を及ぼした可能性がある。もし政治情勢が安定し、欧州で経済的な惨事が起きるという残留派の予想が誇張されていたということになれば、市場の悲観的な見通しは変わるかもしれない。
その半面、さらに悲観的な結論を導くことも可能だ。英国の離脱は、西側諸国がより深く経済停滞に陥っていくという投資家の根源的な不安を目に見える形にし、増大させたということだ。何しろ、11兆7000億ドルのマイナス金利国債の山は、国民投票の後に突如出現したのではなく、実際には何カ月も膨らみ続けてきたものだ。
いずれにせよ、明白なのはこの国債の山が突然、予想に反して小さくならない限り、投資家と政策立案者はこの先数カ月、さらなる負の波及効果に備える必要があるということだ。
まず、資産運用会社と保険会社はもっとリスクの高い債券を買い始めない限り、収益の減少に見舞われるが、そうした債券の購入は別の危険をもたらす。
大衆迎合に拍車 政治に不確実性】
第2に、中央銀行にとっては政策上のジレンマを一層抱えることになる。というのも、前例のない金融緩和措置が実際に経済成長率を押し上げているかどうかはっきりしないにもかかわらず、さらなる金融緩和を進めるべきだという圧力に直面するからだ。
もう一つ、厄介な事がある。マイナス金利や低金利は大抵、不動産や株式など富裕層が所有する資産の価値を押し上げるため、所得格差を拡大させる恐れがある。そうだとすれば、格差拡大がさらなる政治的なポピュリズム(大衆迎合主義)を生み出し、政治の不確実性と経済の先行きに対する悲観論に一段と拍車をかけかねない。
言い換えれば、英離脱の負の波及効果は、まだやっと見え始めたばかりなのかもしれない。すべての人の目が、選挙や貿易の流れ、そして債券価格に向けられている。

When the results of the UK’s EU referendum emerged last Friday morning, the share price of MetLife, the stolid American insurance group, tumbled. In the course of two days its stock fell 14 per cent, making it one of the worst performers on the American indices.
At first glance, that seems bizarre. MetLife has limited business in the UK and its exposure to Europe is small. So it should be shielded from the more obvious potential effects of the vote that are looming over UK companies, eurozone banks and Wall Street giants, such as a European recession or a loss of business and influence for the City of London.
But MetLife has a vulnerability that highlights one impact of Brexit that will have further-reaching consequences. Market actors have turned their attention to the wider outlook for interest rates. Most notably, in recent days, investors have sharply downgraded their expectations for inflation and interest rates, not just in the UK but across the west.
That has nasty implications for asset managers of all stripes, including insurance companies, which need to earn decent returns to pay policyholders. It is also painful for banks, since low rates typically hurt their earnings.
When future historians look back at the Brexit shock, they may conclude that this shifting rate outlook is one of the most important ripple effects of the Leave vote — even if the implications of a Brexit for bond prices look less thrilling than, say, the political soap opera around Boris Johnson, the leading Leave campaigner who has pulled out of the race to be UK prime minister.
To understand this, take a look at the numbers. A couple of years ago negative-yielding bonds — which, in nominal terms, pay less at maturity than investors initially paid — were rare. But this week, Fitch Ratings agency calculated that there is now $11.7tn worth of sovereign debt in the global market that carries negative nominal interest rates.
That is extraordinary. Furthermore, this pile has swelled by $1.3tn in the past month alone, and includes $2.6tn of long-term bonds (those with more than seven years of maturity). Meanwhile, the pile of bonds with a yield that investors used to consider normal — above 2 per cent — is barely worth $2tn.
Most of this negative debt sits in Japan and the eurozone. But rate expectations in the UK and US are sliding, too. The US Treasuries market, for example, now expects a mere 125 basis points of rate rises in the next decade, with barely any hikes in the next two years. Indeed, one of America’s largest hedge funds is now warning its clients that “markets in aggregate are discounting … effectively no monetary tightening for a decade across the developed world”.
Can this gloomy market prognosis be believed? Maybe not. After all, the global economy is still growing overall, with lacklustre expansion in the US. A dash to havens may also have influenced some of the recent bond price swings. If the political climate stabilises and the Remain camp’s prediction of economic disaster in Europe turns out to be overblown, the downbeat outlook of the markets could be reversed.
But, there again, it is also possible to draw an even gloomier conclusion: that Brexit has crystallised and intensified more fundamental investor fears that the west is slipping ever-deeper into economic stagnation. After all, that $11.7tn negative-yield bond pile did not just emerge after the referendum but has in fact been swelling for many months.
**BoE expects to cut rates or boost QE following Brexit**
Bank says likely to slash growth forecasts as ‘economic outlook has deteriorated’
Either way, the one thing that is clear is that unless that pile suddenly and unexpectedly shrinks, investors and policymakers need to prepare for yet more ripple effects in the months ahead. For one thing, asset managers and insurance companies will see their earnings slide unless they start buying more risky debt — which will bring dangers of its own.
Second, the central banks’ policy dilemma will intensify since they will face pressure to engage in further loosening monetary experiments — even though it is unclear that these unprecedented measures are actually boosting growth.
And there is another nasty twist. Negative, or low, rates may exacerbate income inequality, too, since these typically raise the value of assets that wealthy people own, such as property and stocks. If so, that might create even more political populism, sparking more political uncertainty and economic gloom.
The real ripple effects of Brexit, in other words, may have barely been seen yet. All eyes are on the political polls and trade flows, and on those bond prices.